ナマポです。
底辺で生きてます。
昨年末、ナマポの大好きだったSMAPが解散しました。
「ナマポ」と「スマップ」って発音ちょっと似てるじゃないですか。
え、全然似てない? あ、そ。
グループで歌った最後の「世界に1つだけの花」。涙で見ていられませんでした。
オンリーワン
いい言葉です。
ほんと人って比べたがるんですよね。
比べるだけならいいんですけど、比べたあと絶対「あいつよりオレの方が上」みたいに思いたがるんです。
ナマポもそうです。
底辺で生きてると言いながら、自分よりまだ下がいるんじゃないか、と。
そして底辺以下を見つけてちょっと優越感に浸ってるんです。
ええ、屑人間です。
大学の時の後輩で、就職もせずにレンタルビデオ屋でずっとバイトしてるやつがいました。
なんだかそいつを見るたび「ああ、ナマポと同じだ……」と思って心のどこかで安心してました。
そしたらそいつの実家ってプチ金持ちで不動産とか持っていて無理に働かなくてもいいって話を聞きました。
そしてそいつのお父さんは料理が好きなので小さな居酒屋さんをやってるそうです。お金なんか全然困ってないのに。
「人間は汗水流して働かないとダメ」ってよく言ってるそうです。働かなくてもいいのに。
後輩はあと何年かしたら店を継いでもいいし、別に継がなくてもいいそうです。
そういう恵まれた家庭だったのです。
その話を知った時、なんだかすごくうらやましいやら、くやしいやら。
比べてなければ勝ち負けなんか無かったのに。
心の中で勝手に比べて「勝った」と思っていたら実はKO負けでした。
大学の時の同級生の話です。
すごく仲が良かったので親友だと思ってます。
10年前の夏、ナマポのアパートに電話がかかってきました。
「もしもし、Uさん、そちらにいますか?」
「……え?」
「大学で友だちだったUさん。知ってますよね。そちらにいませんか」
普通のテンションの会話です。
でも受話器の向こうから普通じゃない空気が伝わってきます。
勘の鈍いナマポでもわかるぐらい怖い空気です。
「いえ、いませんけど。あ、あの……どちら様でしょうか」
「××興業」
相手はそう言うと電話を切りました。
U君、街金から金を借りてたんです。
この時すでにU君の携帯はつながらなくなってました。
それから数日間、別の会社から同じような電話が何回もかかってきました。
以来、大学の友だちの誰に聞いてもU君の消息を知りませんでした。
唯一ナマポだけが街金のことを知っていましたが、このことは誰にも言いませんでした。
ナマポの夢にはU君がよく出てきます。
夢の中のU君は昔と同じ明るくふざけた感じで、それでいてちょっと気難しい表情をしながらナマポに挨拶するんです。
ナマポも何も事情を知らないかのように昔通りの挨拶をします。
いつもそこで夢から覚めます。
U君どうしてるんだろう……
ナマポ自身もこの頃、街金ではありませんでしたがカードローンで結構お金を借りてました。
でも街金じゃない分、ナマポの方がマシかなと。
夜逃げしなかった分、ナマポの方が勝ってるかなと。
この10年間、ナマポの目標は親友U君のかわりに借金を払ってあげられるぐらい金持ちになることでした。
自分も借金してるのに。
普通にお金を渡したんじゃU君だってプライドがあります。断るに決まってます。
どうしたらU君のプライドを傷つけないで助けられるか、10年間そればかり考えていました。
でも多分U君はすでに死んでるんだと思います。
良くてホームレスだと思います。
街でホームレを見るたびにU君を思い出してました。
もしホームレスのU君と会ったら。
U君が空き缶や段ボール箱を拾ってる時には絶対声をかけない。
それ以外のとき、例えば公園で発泡酒飲んでるとか、ベンチで寝ている時とかに声をかけよう。
そう決めてました。
今日たまたまFacebookで彼の名前を検索したら……
いました、1文字違いの似たような名前の人が。
開いてみたらU君でした。顔写真が載っていたので間違いないです。
どうやらU君は整体師になってるようです。しかも整体の学校で教えてる先生です。
なんじゃこりゃ?
街金に追われて夜逃げしたのに今は先生?
ブログ見たら「かわいい生徒から旅行のお土産貰いました(写真)」とか嬉しそうに書いてますよ。
生徒さんから慕われてる良い先生みたいです。
Facebookは大学の時の友だちのつながってるみたいです。
ナマポだけが知りませんでした。
ずっとU君を心配していたのに。ずっとU君をさがしていたのに。
きっとのたれ死かホームレスかマグロ漁船のどれかだと思っていたのに。
でも正直、U君を底辺よりずっとずっと下に見てました。
悔しいです。
またナマポの負けです。ボロ負けです。
いつまでたっても底辺です。